2014年8月28日木曜日

昆虫はすごい

丸山宗利著『昆虫はすごい』(光文社新書,2014年初版第1刷)を読み、昆虫たちの能力のすごさを知った。

私は日課にしている散歩のとき、さまざまな昆虫に出会う。気が向けば、出会った昆虫を携帯しているカメラで撮る。それだけのことで、昆虫についての知識を深めようなどと考えたことなどなかった。

ところが、たまたま入った書店で平積みされたいた『昆虫はすごい』という本が目にとまり、買って読んだところ、面白いのなんの。昆虫たちはすごい能力を持っていることを初めて知った。

昆虫に造詣が深い養老猛司氏が、この本を推薦している。だからというわけではないが、私には理屈抜きで「ほぉー!」と感心しっ放しで読んだ。

私がとくに面白いと思ったのは、「ゾンビを操る」の部分である。

エメラルドセナガアナバチとハチは、二回、ゴキブリに正確に毒を注入する。一回目の毒の注入で前脚を麻痺させる。二回目の注入で、逃げられないように動きを止める。このハチは、歩けるが逃げることをしないゴキブリ、つまり「ゾンビゴキブリ」を作り出し、触覚をくわえて、巣穴まで誘導し、そのゴキブリに産卵するのである。

この本は、まさにタイトル通り「昆虫はすごい」のだということを、科学的な調査結果を踏まえて紹介している。

2014年8月25日月曜日

フラジャイル 弱さからの出発

私は、スポーツ科学部競技スポーツ科学科に所属する教員である。競技スポーツ科学科では、競技スポーツの選手としてあるいはコーチとして必要とされる高度な知識を提供することを目指している。この学科の名称にもなっている競技スポーツは、競い合い勝つことに強い関心がもたれる。当然、この学科に所属する教員と学生の大部分は競技スポーツに“勝つ”ことに意識が向けられる。

競技スポーツに“勝つ”ことは“強い”という言葉に置き換えられる。「強い選手になりたい」「強いチームをつくりたい」という言葉は「勝つ選手になりたい」「勝つチームをつくりたい」と同意語だといえる。

かつて私も“勝つ”こと“強い”ことにを中心軸に据えて、講義内容を決めて授業を展開してきた。ところが、最近(2年ほど前)から“弱さ”ということがしきりに気になり始めた。気になるどころか、“弱さ”がスポーツにとって重要な意味があると考えるようになった。どのように重要かは漠然としているが、“弱さ”が私にとって魅力的な言葉となってきた。

そんなとき、偶然に『フラジャイル 弱さからの出発』(松岡正剛著、ちくま学芸文庫、2011年、第6刷)という本を見つけた。

松岡は、この本の冒頭で『私の熱中は、これまでまったく顧みられてこなかった「弱さ」というものをめぐっている。また、弱さにひそむ「フラジャイルな感覚」をめぐっている。』(p.12)と述べている。私は「弱さ」に熱中する域までは達していないが、その付近でさまよいながら「弱さ」を気にしている。

松岡は『では、われわれはなぜ「弱さ」を無視したり軽視したりするようになってしまったのだろうか。」(p.434)と問いかけている。これは、競技スポーツの成果でも当てはまる問だと思う。スポーツはなぜ「弱さ」を無視したり軽視したりするようになってしまったのだろう。

2014年8月22日金曜日

忙しさを上手に手放す思考術

歳をとるにつれて仕事を減らすのがよいと考えているのに、頼まれごとを断れず、ついつい仕事が増えている。この状態を打開したいと願っているからだろう、品川駅構内の書店に入った瞬間に『忙しさを上手に手放す思考術』(本間正人 クロスメディア・パブリッシング 2014年 初版)が目にとびこんできた。すぐさま購入し、品川駅から名古屋駅までの車中で読んだ。

この本を読みながら、私は何をするのがよいかを思いめぐらせた。

他人からの頼まれごとのうち、私しかできないことと他人でもできることを区別する。そして、他人にできることは丁重にお断りする。これだけでも、忙しさを手放すことができるはずである。

これまで頼まれごとを断れなかったのは、他人に私の価値を認めてもらいたいという願望があったからであろう。私の価値を認めてほしいという願望を断つことが、残された人生を自分のために過ごす第一歩だと強く感じた。

2014年8月16日土曜日

おいさき

人生においては、2つの「おいさき」がたいせつになる。

子どもの「おいさき(生い先)」と老人の「老い先」である。人生の始まりの「生い先」と人生の終わりの「老い先」を粗末にしないことが、豊かな人生を送るために大事だと感じる。