2013年8月25日日曜日

時にはまわりの自然を見ながら歩こう

私の自宅の前に水無瀬川がある。自然の川ではない。人工的に作られた川である。川は人工であるが、この川には鯉、名前のわからない小魚、亀、蛙などの自然の生き物が住んでいる。サギ、鴨などが飛来する。雀、鳩、カラスなども、この川のまわりにたくさんいる。

水無瀬川のほとりは、ウォーキングコースになっている。このコースを妻といっしょに歩き始めて3年になる。健康のためにウォーキングを始めたのである。ところが、いつの間にか、水無瀬川にいる生き物に出会うためにウォーキングに出かけるようになってしまったようだ。

生き物を見つけるたびに立ち止まり、しばしその姿を見ながら時を過ごす。だから、ひたすら歩き続けることはない。歩いたり、立ち止まったりしながら、ウォーキングをする。

体力の維持、肥満の予防のためであれば、たびたび立ち止まりながらのウォーキングは適さない。歩き続ける方が効果は高まる。

しかし、ウォーキングの目的は肉体への効果だけではないと思う。心によい効果を及ぼすことも、ウォーキングのたいせつな目的である。私たち夫婦が行なっている、しばしばウォーキングを中断して生き物との出会いで心の安らぎを得るウォーキングは、心理的ストレスを和らげてくれる。こんなウォーキングもいいものだと、最近つよく感じるようになった。

脇目も振らず、黙々とウォーキングをしている人は、一度、立ちどまりながらまわりの自然と触れ合う間を置くことをお勧めする。

2013年8月19日月曜日

村上春樹『東京奇譚集』を読む

インターネットでamazonを開き読みたい本探しをするのが、私の日課の一つになっている。

1週間ほど前、いつものようにamazonで本探しをしていたら、「肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却・・・・・。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。」という宣伝文を発見した。私の心をとらえたのは「大切なものを突然に奪われた」という一文である。

私にとって大切なものは妻であり、家族であり、住処であり、仕事であり、自由であり、体力であり、健康であり、・・・・・、と数多くあげることになる。欲張りかもしれないが、本当にたくさんのものが私にとって大切なのである。もし、私にとって大切なものが突然に奪われたら、間違いなく思考は混乱するだろう。投げやりになり、冷静な対応ができないかもしれない。場合によっては、立ち直ることができないかもしれない。

この本(村上春樹 『東京奇譚集』新潮文庫)を通して、災害や事故で大切なものを突然に奪われたとき人間はどのように対応するのか、を私なりに考える機会を与えられた。

2013年8月11日日曜日

反応よりも筋肉の収縮力と収縮速度の衰えとの闘い

体力テストの中に「全身反応」テストがある。刺激を受けてから動作を開始するまでの時間を測る。この時間が短いほど、反応は優れている。

「全身反応」テストでよく利用されるのは、光刺激(光の点灯)を合図にできる限り素早く垂直跳びを行い、光刺激から足が床を離れる瞬間までの時間を測る方法である。

大学の研究室でゼミ学生らの全身反応時間を調べたことがある。私も被験者として参加した。66歳の私の全身反応時間はというと、平均すると0.300秒であった。この結果は、20歳の学生の多くよりすぐれていた。

ところが、私の垂直跳びは40cmであり、学生よりもかなり劣っていた。垂直跳びは筋力とスピードの能力が影響する。

全身反応と垂直跳び結果からわかることは、垂直跳びに比べて全身反応は加齢による衰えが少ないということである。このことは、多数の被験者から抽出した結果からも明らかである。

図は、20歳のときの値を100%として求めた全身反応と垂直跳びの年齢による変化である。

この図からわかるように、20歳から66歳までの衰え方は全身反応よりも垂直跳びの方が著しいのである。

イチロー選手を始め野球選手としては高齢に属する打者たちでは、反応の衰えもあるが、それ以上に筋肉の収縮力(筋力)や収縮速度の衰えを遅らせることが重要課題となる。

2013年8月2日金曜日

胸を張る

スポーツ選手は、その動作をなぜ行うのか。

新聞や雑誌に載っている選手の写真をみるとき、こんな疑問がしばしば浮かんでくる。8月2日の朝日新聞の夕刊にダルビッシュ投手(レンジャーズ)の投球時の写真が載っていた。

あごを軽く突き出し、左手を入れたグローブを左脇に置き、ボールを握った右手は後頭部のうしろにあり、そして胸を張った姿勢をとっている。そういえば、投手たちはダルビッシュ投手のように投球時に胸を張る。胸を張るのは一体なぜなのか。

脊柱は、頭の側から順に頸椎、胸椎、腰椎の3つの部分に分けれる。このうち胸椎を反らせたとき、胸を張った姿勢になる。胸椎を反らせると肩甲骨の動きがよくなり、肩関節を中心に上腕を大きく動かすことができる。ダルビッシュ投手たちが、投球のときに胸を張るのは上腕の動きを大きくするためである。

この仕組みを知らないと、胸椎を反らさせないで腰椎だけを反らせてします。この姿勢だと、上腕を大きく動かすことはできない。

ハンマー投げの室伏広治選手とトレーナーの咲花正弥さんが著した『ベストパフォーマンスを引き出す方法』(ベースボール・マガジン社)の中で室伏選手は「まねるのは理論であって形ではない」ということを指摘している。外から見た形だけまねようとしても、パフォーマンスを向上させることはむずかしい。たいせつなのは、理論をまねることである。

投手が胸を張ることを形だけでまねると、腰椎を反らせた姿勢をとることになる。理論をまねる人は、胸椎を反らせた姿勢を摂ることでパフォーマンスを高められるのである。