2013年8月2日金曜日

胸を張る

スポーツ選手は、その動作をなぜ行うのか。

新聞や雑誌に載っている選手の写真をみるとき、こんな疑問がしばしば浮かんでくる。8月2日の朝日新聞の夕刊にダルビッシュ投手(レンジャーズ)の投球時の写真が載っていた。

あごを軽く突き出し、左手を入れたグローブを左脇に置き、ボールを握った右手は後頭部のうしろにあり、そして胸を張った姿勢をとっている。そういえば、投手たちはダルビッシュ投手のように投球時に胸を張る。胸を張るのは一体なぜなのか。

脊柱は、頭の側から順に頸椎、胸椎、腰椎の3つの部分に分けれる。このうち胸椎を反らせたとき、胸を張った姿勢になる。胸椎を反らせると肩甲骨の動きがよくなり、肩関節を中心に上腕を大きく動かすことができる。ダルビッシュ投手たちが、投球のときに胸を張るのは上腕の動きを大きくするためである。

この仕組みを知らないと、胸椎を反らさせないで腰椎だけを反らせてします。この姿勢だと、上腕を大きく動かすことはできない。

ハンマー投げの室伏広治選手とトレーナーの咲花正弥さんが著した『ベストパフォーマンスを引き出す方法』(ベースボール・マガジン社)の中で室伏選手は「まねるのは理論であって形ではない」ということを指摘している。外から見た形だけまねようとしても、パフォーマンスを向上させることはむずかしい。たいせつなのは、理論をまねることである。

投手が胸を張ることを形だけでまねると、腰椎を反らせた姿勢をとることになる。理論をまねる人は、胸椎を反らせた姿勢を摂ることでパフォーマンスを高められるのである。

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