2012年7月27日金曜日

今日の本

ジョン・D・バロウ[著]  松浦俊輔、小野木明恵[訳]
『数学でわかるオリンピック100の謎』
青土社


ロンドンオリンピックの年だからであろうか、今年はスポーツに関する本が数多く出版されている。その中から今日は『数学でわかるオリンピック100の謎』をとりあげたい。

この本には、タイトル通りスポーツに関する100個のテーマを数学的思考法で説明されている。数学といっても難しい数式は一切ない。数学が苦手な人でも、文章を読み進めれば理解できるはずである。


タイトルにオリンピックとあるが必ずしもオリンピック種目だけが取り上げられているのではない。『数学でわかるスポーツ100の謎』というタイトルの方が内容を正確に表している。原著のタイトルは"100 essential THINGS YOU DIDN'T KNOW you didn't know about SPORT"である。オリンピックイヤーに絡めて日本語のタイトルにオリンピックを入れたのであろう。


この本の特徴は帯の紹介文から知ることができる。
「一見なんの関係もないような数学とスポーツ。両者をつなげる法則性に気がつけば、筋力トレーニングではみつけられない飛躍の可能性からまさかの落とし穴まで、知らないことさえ知らなかった盲点を発見できる。さあ、頭を使って身体を動かそう!」


スポーツ科学を学ぶ入門書として最適な本であるといえる。





2012年7月12日木曜日

かげの独り言

生体時間運動術


体温、血圧、心拍数といった生体の機能は、生体時間の影響を受けている。生体時間は、生物時計といわれることもある。この時計に合わせて起こる体のリズミカルな変化を、概日リズム、サーカディアンリズムという。私たちの日常の行動は、人間が勝手に作り出した時間に合わせて行われている。しかし、体の諸機能はそんな時間に合わせているのではなく、体に仕組まれている時計に合わせて調整されている。


運動を行うことで健康や体力を向上させるためには、本来、生体時間に合わせて行うのがよいような気がする。こういった運動法を「生体時間運動術」と呼ぶことにしよう。


生体時間運動術は、腕時計などで表示される人工的な時間を無視し、体の中に生得的に備えられている生体時計に合わせて運動するものである。


最近、私が監修した『図解 本当はすごいラジオ体操健康術』(中経出版)の売れ行きが好調とのこと。たいへんうれしい限りである。この本を監修した頃は、生体時間運動術についての考えはなかった。仮にいまこの本を監修したのなら、次の項目を加えていることだろう。


<生体時間ラジオ体操>
1.朝は目覚めのラジオ体操
朝のラジオ体操は軽め。少々だらだらと行うくらいでよい。体を軽く動かすことで脳を目覚めさせる。


2.日中は体づくりのラジオ体操
日中は、力を入れるところでは力強く、力を抜くところでは筋を弛緩させて、メリハリをつけて行うことで、体力の向上を図る。


3.晩は入眠のラジオ体操
夜眠る30分ほど前に、体がポカポカするまで体を動かす。上昇した体温が下がるとき眠気が起きやすくなる。


このブログを書いているうちに、どこかの出版社で「生体時間運動術」について本を書かせていただければという願いが心の底から湧いてきた。



2012年7月11日水曜日

かげの独り言

後追い研究

私が勤めている中京大学関係者5名が、ロンドン五輪の陸上競技種目に出場する。スポーツ科学部准教授の室伏広治選手、そして体育学部生の中村明彦選手、市川華菜選手、山本征途選手、佐藤圭太選手である。いずれの選手も、私の講義に出席した教え子たちである。

私が講義を通して指導したからロンドン五輪に出られるようになった、と言いたいところである。しかし、そんなことはない。たまたま私の講義に出席した学生たちがロンドン五輪に出場した、というのが事実である。 


私は、こういった優秀な選手たちに出会うたびに思い知らされることがある。それは、スポーツ科学はまだまだ”後追い研究”だということである。

優秀な選手が出現すると、その選手の心技体の優秀さを科学の力で解明しているにすぎないということである。スポーツ科学が先行して優秀な選手をつくることは、現在のところでは不可能ではないかと思う。まだまだ、優秀な選手の後を追いかけて科学研究を行い、その選手の優れたところを明らかにしているのが、スポーツ科学の現状だと感じている。


優秀なスポーツ選手たちを対象に”後追い研究”を続け、その成果から、いつか選手たちに先行してパフォーマンスを向上させる方法を提供できるかもしれない。まぁ、そのときには私はこの世から去っていることであろう。

生きている間、謙虚に”後追い研究”を続けたいと、真剣に願っている。

 
 

2012年7月4日水曜日

NHKテレビ 出演

次の番組に出演します。JAPANアスリートたちの心技体について紹介する内容です。肉眼ではとらえられない選手たちの動きを見ることができます。


『古田敦也のスポーツトライアングル』
BS1スペシャル
世界を制す!JAPANアスリート


放送2012年7月13日(金)
前編 23:00-23:50
後編 24:00-24:49