後追い研究
私が勤めている中京大学関係者5名が、ロンドン五輪の陸上競技種目に出場する。スポーツ科学部准教授の室伏広治選手、そして体育学部生の中村明彦選手、市川華菜選手、山本征途選手、佐藤圭太選手である。いずれの選手も、私の講義に出席した教え子たちである。
私が講義を通して指導したからロンドン五輪に出られるようになった、と言いたいところである。しかし、そんなことはない。たまたま私の講義に出席した学生たちがロンドン五輪に出場した、というのが事実である。
私は、こういった優秀な選手たちに出会うたびに思い知らされることがある。それは、スポーツ科学はまだまだ”後追い研究”だということである。
優秀な選手が出現すると、その選手の心技体の優秀さを科学の力で解明しているにすぎないということである。スポーツ科学が先行して優秀な選手をつくることは、現在のところでは不可能ではないかと思う。まだまだ、優秀な選手の後を追いかけて科学研究を行い、その選手の優れたところを明らかにしているのが、スポーツ科学の現状だと感じている。
優秀なスポーツ選手たちを対象に”後追い研究”を続け、その成果から、いつか選手たちに先行してパフォーマンスを向上させる方法を提供できるかもしれない。まぁ、そのときには私はこの世から去っていることであろう。
生きている間、謙虚に”後追い研究”を続けたいと、真剣に願っている。
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