2015年1月11日日曜日

博識を学ぶ教科書『家庭の科学』

私は、大学で1年生を対象にした「スポーツ科学入門」という授業を担当しています。1年生が2年生以降に学ぶさまざまな専門科目を理解できるようになるための基礎知識を授けるのが、この授業のねらいです。専門科目の分野は複数にわたるために、授業で扱う内容も多岐にわたります。解剖学、生理学、医学、力学、数学、社会学、歴史学、心理学・・・・などなど。

当然、私自身も幅広く知識を集め、理解し、授業用の資料をつくらなければなりません。これは、大学教員に求められている専門性からかけ離れたことです。博識よりも専門知識の深さに価値がおかれているのが大学です。でも、私は定年間近の年齢になっていることに甘えて、多少浅くても幅広い分野で扱われている大事なことを理解し、それを統合し、これまで見落とされてきたことを発見していくことに熱情をささげています。
そんな折り、たいへん参考になる本に出会いました。
ピーター・J・ベントリー著 三枝小夜子訳 『家庭の科学』(新潮文庫)です。

読者である「私」が朝起きてから就寝前にお風呂にはいるまでの一日の中で経験するさまざまな出来事(失敗)をとりあげ、その出来事の背景に潜んでいる科学的理由を解き明かしていく本です。

午前7時の「目覚まし時計が鳴ったために寝過ごす」から始まり午後10時の「浴槽の水をあふれさせる」まで合計38個の失敗を取り上げ、その失敗の科学的原因を説明しています。同時に、失敗から脱出する方法のヒントも教えてくれます。

幅広く学ぶためのよきテキストを手に取ることができました。

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