2013年1月1日火曜日

マラソンは体脂肪で勝負


スポーツ科学(第2回)

マラソンは体脂肪で勝負

体脂肪が少ないほど競技力向上に役立つと勘違いして、必要以上に体脂肪を落としているスポーツ選手がいる。体脂肪が少なすぎると、競技力の低下だけではなく、たいせつな健康を損なうことにもなりかねない。

スポーツ競技の中でもマラソンのような持久力を要する運動では、体脂肪量が適度にあることがスタミナ切れ防止に役立つのである。体脂肪には次のような役割がある。持久力を要する運動では、この中のとくに①と②の役割が重要となる。
①大量のエネルギーを貯える。
②エネルギーを長時間、供給できる。
③体温を保つのに役立つ。
④脂溶性のビタミンを運搬する。
⑤月経を発現させるのに貢献する。

マラソン選手たちは2時間以上かけて走る。この間、エネルギーを絶えさせてはいけない。エネルギー源となる栄養素は、主に糖質と脂質である。糖質は、ダッシュのように酸素供給が不十分な状況でもエネルギーを出せる。しかし、貯蔵量が少ないのですぐ枯渇する。脂質は、エネルギーを出すために酸素を必要とする。しかし、貯蔵量が多いのでエネルギーを長時間にわたって供給できる。マラソンのような持久力を必要とする運動で体脂肪が役立つというのは、この理由による。

女性スポーツ選手の場合には、体脂肪の減り過ぎは月経異常の原因となる。女性の体の働きを害さないためにも、適量の体脂肪は欠かせない。女性の場合、体脂肪率を17%以下にしないことが健康維持にとって必要である、という考えが報告されている。

体脂肪が増えすぎると肥満症などの病気を起こしやすくなる。少なすぎても持久力低下や健康障害を起こす。持久種目のスポーツ選手は、適量の体脂肪を保つことを心がけるのがよい。その目安は、次のようである。
男性 10~19%
女性 20~29%

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