2023年4月8日土曜日

メモ(14) 若さと老年

 精神の若さを、ちらかさないように老年の時期まで一つにまとめて整理し、清新なままにしておくことは可能であるが、肉体の老年は、たとえ、それが生身の若さで輝く輝くようにみえることがあっても、どうにも手のほどこしようのないものである。老年が肉体の衰亡、変化を旧態に止めようとして費やすむなしいあがきほど、みていて気の毒なものはない。容姿の落魄は、修飾するほど醜くなる。

【出典】 金子光晴 『若さと老年』: 鶴見俊輔・編『老いの生きかた』 ちくま文庫 1999年5月20日 第二刷 p.97 

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