2023年4月11日火曜日

メモ(23) 松永安左エ門

夜、手もとにあった雑誌「選択」を読むと、小島直紀氏が松永安左エ門について書いておられる。

七十六歳のとき、トインビーの『歴史の研究』十巻を英文で、、青や赤のアンダーラインをひきながら読破。八十歳でロンドンに出かけ、トインビーを訪ね、その翻訳権を個人でゆずり受ける。その四年後、夫人を亡くしたときには、世間に全く知らさず、ひとりで葬儀をすませた。世間に迷惑をかけたくない、それに、「世間の妻ではなく、自分自身の妻なのだから、自分だけでねんごろに葬りたい」という気持ちではなかったかと、小島氏は書く。

松永記念館もよかったけれども、わたしには、こうした文章こそ、松永さんが生きてわれわれに語りかけてくるのを感じる。 

【出典】 城山三郎 『わたしの情報日記』 集英社文庫 集英社 昭和61年10月25日 第1刷 15-16頁

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