筋力の衰え方は急速だ。筋力をちょっと使わないでいると、自然は「いらないの?了解!」と問答無用にバッサリ切り捨てる。その判断があまりにも速い。一年程度使わなくても衰えないようにできないのか。
土屋 賢二. 長生きは老化のもと (文春文庫) (p.52). 文藝春秋. Kindle 版.
筋力の衰え方は急速だ。筋力をちょっと使わないでいると、自然は「いらないの?了解!」と問答無用にバッサリ切り捨てる。その判断があまりにも速い。一年程度使わなくても衰えないようにできないのか。
土屋 賢二. 長生きは老化のもと (文春文庫) (p.52). 文藝春秋. Kindle 版.
事故を減らすには、自動運転に頼る必要はない。すでに衝突を避ける仕組みはできている。これに加えて、信号や標識を無視すると自動的に最寄りの高い駐車場に移動して一時間は動かないとか、薬物やアルコール、反射神経や血糖値をチェックし、合格しないと動かないとか、ちょっとでも危険運転やあおり運転をすると否応なく人里離れたところに連れて行き、十時間ほどドアを閉めたままテコでも動かなくなるなどの自動車を開発すれば、事故は減るはずだ。
土屋 賢二. 長生きは老化のもと (文春文庫) (p.48). 文藝春秋. Kindle 版.
事故要因を排除していくと、人間の介入を排除することになる。事故の最大要因は人間だからである。
土屋 賢二. 長生きは老化のもと (文春文庫) (p.48). 文藝春秋. Kindle 版.
自分の目や耳で確認できるのは氷山の一角にすぎない。自分の寝顔や後ろ姿、真上から見た姿は、自分では分からない。目のさめるようなハンサムである可能性も捨てきれない。
心については、情報量はさらに悲惨だ。自分が何を望んでいるかということですら、確固たる情報はない。ファッションでも食べ物でも、専門家が創出した需要や欲求をそのまま受け入れているし、映画や小説など、どこで泣かせ、どこで笑わせるか、計算通りに操られている。異性の好みでさえ、最近は人工知能に教えてもらう時代なのだ。
土屋 賢二. 長生きは老化のもと (文春文庫) (p.35-36). 文藝春秋. Kindle 版.
近年、個人情報の扱いは慎重になっている。名簿や緊急連絡網はなくなり、大学の合格発表は、氏名でなく番号でなされている。これほど神経質になっているくせに、なぜみんな平気で自分の名前と顔をさらしているのか不思議である。
土屋 賢二. 長生きは老化のもと (文春文庫) (p.35). 文藝春秋. Kindle 版.
「『いかに生きるべき か』と問う者がいる。これは自分の思うように生きるのでは なく、正しい 生き方、最善の生き方をだれかに教えてもらい、それに従おうとして いるのである。
土屋 賢二. 長生きは老化のもと (文春文庫) (p.33). 文藝春秋. Kindle 版.
弁論重視の風潮にプラトンは異を唱えた。スピーチ力を磨いても、人々に一定の思い込みを与えるだけだ。弁論術は、人々に受け入れられやすくする「迎合」にすぎない。目指すべきは、善さそうに見える物ではなく、何が善いかという「知識」だ。作るべきは、口当たりのよい料理ではなく、健康によい料理だ。
土屋 賢二. 長生きは老化のもと (文春文庫) (p.27). 文藝春秋. Kindle 版.