2012年2月11日土曜日

今日の本

田口佳史 『老子の無言 人生に行き詰まったときは老荘思想』 (光文社)

私が老子に関する本を買ったのは、この本で何冊目だろうか。

日本人で初めてノーベル賞を受賞した湯川秀樹博士が書かれた本で、老子の考え方が私に合っていることを知りました。それ以来、老子や老荘に関する本を見つけると、迷わず読む習慣がついてしまいました。この本も、新聞の宣伝で知り、さっそく購入して読むことにしたのです。

この本の大部分は、表現は多少異なっていても、これまで読んできた老荘に関する本の内容とほとんど同じです。しかし、一つだけ目新しい内容は「イチロー選手は老荘思想の体現者 目指せ名人・達人の境地」です。私がこれまで読んだ老荘に関する本には、スポーツ選手を話題にしたものはありませんでした。イチロー選手は「ふつう」という言葉を多用しますが、それがまさに老荘思想の体現だと筆者は述べています。この章があるだけで、この本は私に価値あるものです。

老荘思想は、肩書きなど取り去った裸の状態が大切だと説いています。この本の著者もそのことを述べています。しかし、著者紹介には数多くの肩書きが並んでいます。これまで読んだ本も、著者の肩書きが長々と記されていました。一冊くらい名前だけ載せた本があってもよいのですが。

かくいう私も、このブログの紹介に肩書きを並べています。なかなか老子の境地に入ることができません。だからこそ、老荘の本が新しく出るたびに買って読むことで、老子の気分に浸っているだけのような気がします。反省。


縄跳びとヨーヨー

鈴木裕之さんと鈴木めぐみさんの演技を高速カメラで撮影することができました

鈴木裕之さんは、競技ヨーヨーの世界的な選手です。鈴木めぐみさんは、縄跳びギネス記録保持者です。二人は兄妹です。

裕之さんには得意のヨーヨーを演じていただき、身体とヨーヨーの動きを高速度カメラで撮影しました。両肩が微動だにしないことに驚きました。

めぐみさんには全速力で縄跳びをしていただき、身体と縄の動きを高速度カメラで撮影しました。 頭と腰の位置はほぼ一定のまま、股関節の運動で跳んでいることがわかりました。1秒間に5回以上跳ぶスピードに驚きました。

ヨーヨーは中年以上の人たちの神経系の老化防止に、縄跳びは筋や腱および循環器系の老化防止に役立つ運動になるのではないかと、撮影をしながら思いました。

裕之さん、まぐみさん、撮影のご協力ありがとうございました。

2012年2月10日金曜日

今日の本

『神は数学者か? 万能な数学について』 マリオ・リヴィオ 著  千葉敏生 訳  早川書房

この本の内容は、この本のカバーに書かれている文に簡潔に紹介されている。その文章を記す。

「数学は、ヒトの脳が作り出した文化的な産物であるはずなのに、これまで実に正しく自然現象を説明し、実に精密に物事の動きを予測してきた。また、流行り廃りのある科学理論一般にくらべ、数学の成果は紀元前の昔から一貫しており、科学上のある難題が生まれる100年以上も前にそれを解く「ツール」が、そのつもりもない数学者によって用意されていた、という例も少なくない。あたかも万能の存在であるかのように、なぜ数学はこんなに一貫していて、こんなに現実の役に立つのか。数学者たちが冗談交じりに言うように、創造主=神に数学の知識があったからなのだろうか!?」

この本を読んでいるうちに、数学の知識を備えた誰かが(あるいは何かが)、数学で説明ができるように、いま私たちが生きている世界のあらゆる現象を作り出した、としか考えられない気がしてくる。

2012年2月2日木曜日

今日の本

池田和弘 『英語がスラスラわかるようになる魔法の本』(日本実業出版社)

英語の力をつけるためには文型を学ぶ事が大切である、といわれている。例のSVOCを組み合わせた文型である。この本では、もっと簡単に1つの文型だけを提案している。「核」となる部分と「説明」する部分を組み合わせた文型である。

たとえば、The speed of light is fast.という文章はThe speed of light isが「核」であり、fastが「説明」となる。

光の速度はね→速い

と意味の流れに沿って読み取るのである。1つの文型という提案は、私には合っている。

2012年2月1日水曜日

今日の本

堀正岳 『理系のためのクラウド知的生産術 メール処理から論文執筆まで』(講談社)

この分野の名著は梅棹忠夫著『知的生産の技術』である。しかし、『知的生産の技術』で紹介されている方法は紙媒体を前提にしたものである。現在のように、パソコンとインターネットを利用できる時代では、それにあった方法を取り入れることが必要である。堀正岳著の『理系のためのクラウド知的生産術』は、現在のパソコンとインターネットを利用した方法を具体的に紹介されている。この本で紹介されている方法のいくつかについては、私もすでに取り入れているが、さらに活用するための手がかりを得ることができた。

2012年1月30日月曜日

かげの独り言〜スキーブーム去る?〜

私の卒業研究を受講している学生らと、中京大学セミナーハウスレイクビュー白馬に宿泊する。夕食までの間、ハウスの玄関前にあるさのさかスキー場で私と一部の学生はスキー、多くの学生はボードを楽しむ。月曜日のためか、スキー客の少ないのが目につく。

さのさかスキー場だけではない。最近のスキー場で数十分のリフト待ちができるほどスキー客が訪れることは、滅多にない。かつては、リフトを数十分待つのは当 然の時代があった。自家用車や高速道路が今ほど普及していなかった時代には、スキーヤーで満席の夜行列車に乗り、長いスキー板と重いリュックを背負ってス キー場まで行ったものである。冬はスキーに行くことが当然のように考えられていた。それに比べると、今のスキー場の多くは客数が激減しているような印象を もつ。

スキー客が減少 していることは、反面、ゆったりとスキーを楽しむチャンスが増えているともいえる。中高齢者の人たちが、一昔前のスキー板とウェアで颯爽と滑っている姿を しばしば見かける。中高齢者のとっては、客の少ないスキー場でマイペースで滑ることができるのは冬の極上のスポーツレジャーかもしれない。

そ れにして、スキー場はリフト券を買うのも、トイレに行くのも、レストランで食事をするのも重いスキーブーツとウェアを身つけて移動しなければならないの で、体力勝負の場所である。体力が衰えてきた中高齢者には、スキー以外の場所で体力を消耗することになる。中高年にやさしいスキー場が増えるといいな、と スキー場に行くたびに感じる年齢になってしまった。



2012年1月29日日曜日

かげの独り言〜アスリートのスピーチ〜

1月28日夜、テニスの全豪オープン・女子シングルス決勝をテレビで観戦した。ビクトリア・アザレンカ(22=ベラルーシ)が、4年ぶりの優勝を目指したマリア・シャラポワ(24=ロシア)を6―3、6―0で破って優勝を成し遂げた。この試合を観戦して感動したのは、二人の選手の試合中のプレイではなく、試合後の二人のスピーチである。

相手選手をたたえ、協力してくれた家族や指導者や友人らに感謝し、競技会を支えてくれた人たちに礼を述べるのは当然だ。二人のスピーチは、こういった謝辞に加えて、聞く人を引きつける魅力的な内容であった。

アスリートたちは、試合を戦うための体力や技術や精神力を要求されるだけではなく、スピーチ能力も要求される。日本でも、アスリートたちのコミュニケーション能力を高める試みが行われているが、このような能力は中学生くらいから学校教育の一環として取り組むことが必要なのであろう。

スポーツ観戦は、試合中のプレイを見るだけではなく、試合後の選手たちのスピーチを聞く機会を提供してくれる。